イクル、仕事と介護

 

従業員から「不正な介護休業」をされる前に(その1)

 

従業員の家族が、介護になっても仕事を続けられるように会社のコンプライアンス(法令遵守)としてそんざいする「仕事と介護両立支援」です。
「介護休業≠介護になった高齢者」ではありません。介護休業は、要介護認定を受ける前であっても、つまり要介護認定を受けられる年齢(40歳)に達しない場合において従業員は介護休業を取得できます。

もし、従業員から不正な介護休業を取得されたら、会社の生産性もおちますし、社内の労働環境だってよくありません。そして、会社もその間お金もかかります。

不正な介護休業をされないために第1回では、基本をおさえていただいて、2回で実例をいれながら問題の対策について述べたいと思います。

 

介護休業について

「介護休業」は、2週間以上にわたって家族の介護が、必要な場合に取得できる休暇制度です。長期的な介護を目的としています。

 

【介護休業取得できる従業員と内容】

「取得できる従業員」

・ 入社から1年以上経っていること

・ 申請してから93日以内に退職しないこと

 

「会社として知っておく内容」

・ 期間と方法、家族1人につき93日。3回まで分割取得が可能

・ 給料は、無給の会社が一般的ですよ。一方で従業員は介護休業給付金がもらえる

 

 

「社会保険」

社会保険は会社と従業員との折半になります。

育児・介護休業法で規定されている休業でも、介護休業期間中については厚生年金保険の被保険者・事業主は保険料を納付しなければなりません。

これが、従業員が育児で取得する休業などと、おおきく違う「介護休業」です。
育児休業の社会保険は免除、介護休業はせっぱん

 

つまり、介護休業は、原則すべての従業員が取得可能になっています

しかし、介護休業を取得できない従業員もいます。

【取得できない従業員(以下、労働者)】

 

・日雇いの労働者
・入社から1年未満の労働者
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
・申請してから93日以内に退職する労働者
・有期雇用者で、介護休業の開始日から93日を経過する日から、6か月以内に契約が終了する労働者

 

です。

介護休業の申請は会社にとってもある日突然

介護休業の申請は、育児介護法により「介護休業の開始予定日から2週間前までに介護休業申出書を提出すること」とされています。従業員、ある日突然の家族の介護です。一方で会社も、ある日突然の従業員の介護支援になるわけです。

ある日突然の従業員の介護休業の支援になった場合、会社はエビデンスとして「従業員の家族が要介護状態であることを証明する書類など」の提出を求めることはできますので、申請のルールとしてなにか決めておいたほうが、従業員にも会社にもお互いとって大切です。


なぜなら、医師の診断書は必要ないからです。

「従業員の介護休業」会社は拒否すると…

 

育児介護法の仕事と介護両立支援において、会社は従業員の「介護休業」の取得を拒否することは禁止されています。だから、家族の介護になった従業員は必ず、会社の就業規則・ルールについて調べます。

 

明らかに従業員が介護休業の条件を満たしているのに、会社側が拒否してしまう場合はどうなるかといえば、

まず、介護休業は拒否できない制度なので、説明を求められます。
それでも、なかなか会社との進展がない場合には、労働局、労働基準監督署に相談されます。
厚労省・労働局も、そのような紛争解決スキームのひな型が用意されています。

 

おわりに

家族に介護が必要な状況は、ある日突然やってきます。会社は従業員の家族介護を支援する日もある日突然です。

そうなった場合に、前もって知って「介護休業」、仕事と介護両立支援をしっておくことが、会社を守る、一生懸命に働く従業員のためにも知識をしっておくことが大切です。

生産性を落とさず、働ける環境作りができれば、会社の未来もあかるいですね。