認知症の一人暮らし (後編)

 

認知症になっても一人で暮らしている方は多いです。ある日突然不動産屋さんからのアパートの立ち退きを言い渡される。第2回です。

 

 

5、【立ち退きはソフトランディングを目指す】

 

マツさんは

どちらにしても、今住んでいる場所から立ち退きせざる負えない状態です。

 

いくらNOと言い張っても、結果はおなじです。

心にいらない負担がかかるだけです。

最終的には誰も喜ばないしでしょう。

限られた時間の中で、誰もメリットはありません。

 

であれば、ソフトランディングを目指して関係者に協力してもらったほうがいいわけです。

 

そこで

顔なじみの近隣さんと

介護サービスに入っているヘルパー会社の協力を得て

協調しながら展開していくしかありません。

 

外野からのご意見はそれは沢山いただきますが

 

不安をあおるような話をすれば余計に

マツさんの認知症がすすんでしまいます。

 

 

・不動産屋さんかにお話しを差し上げたこと

1、住んでいる場所から近くで家を探してほしい。

2、日常生活に必要な家電が欲しい。

3、今の日常生活がスライドする感じでおねがい。

 

その費用は、御社の開発費用経費からお願いします。と付け加えさせて頂きました。

 

 

当初、想定して通りことが起きました。

 

 

こころ不安定なマツさんは

イライラはつのり爆発寸前

同じ話の繰り返し

また繰り返しての話。

 

思い出がいっぱいつまった住みなれていた場所から転居しなければならないとは……。

実は、この場所は義理のむすめさんが所有していました。

住んでいるのを承知の上で売ってしまったのでした。

 

はじめは、誰だってマツさんが死ぬまで住めると思い込んでいたわけです。

 

 

 

マツさんは不動産担当者さんに対して

そりゃ~眉間にしわを寄せて大きな声を張り上げてましたよ。

これが95歳の高齢者かと思うくらいにね。

 

 

しかし数か月後には

不動産屋さんの顔を覚えてしまいました。

ニコニコして話していましたね。

 

 

6、【認知症マツさんの心変わり】

不動産屋さんへの守って頂きたい事いくつかアドバイスし、その中でも重要な事は、

『難しい話にしないこと。』です。

 

難しくしないで欲しいというほうが難しいかもしれませんが、マツさんが気持ちよく転居できるように取り計らえばいいことです。

 

非常にシンプルな話でしょう。

 

そして、高齢者に伝える場合に気を付けて欲しい事は、

いっぺんにいくつもの事を言わないことです。

 

情報を処理する速度が遅いのでそのことを判断するまでに

ちょっとだけ時間を要します。

 

ちょっとだけ。

 

 

マツさんはまだらな認知症です、覚えているときはあります。

すっぽりと記憶から抜けていることは多々あります。

繰り返しお話しするマツさんに対して

私たちもマツさんと同じくようなペースで

繰り返してお話をすることが大切なのです。

 

 

もし、私たちがみなさんと会話をするおなじペースで話をすると…

ほとんどの高齢者は、話を処理し判断することが追いつかず面倒になって言葉を発しなくなり、終いには心を閉ざしてしまいます。

 

 

私たちは、「難しい話にしない」ということを心がけて

繰り返して話をするのです。

根気が必要です。

一つのことを伝え抜く、しせいが大切になってきます。

 

 

マツさんは不動産屋さんのことを

「私のことを心配してくれる人、家の事で来てる人」

という認識になり心変わりをしていきました。

 

余談ですが…

認知症の高齢者によく見うけられるのですが、その認知症の高齢者にとって嫌なことをいう人は、ずっと脳にインプットされちゃいます。本当ですから(笑)。

その人の顔を見ただけで、無表情がいっそうカチンコチンな無表情になります。

体験したことを脳が覚えているのでしょうね、

良くないケースになると感情が表にでて暴力などの行動に及ぶこともあります。

 

7、【認知症一人暮らしの転居】

 

 

不動産会社から立退きの話の相談より

早いもので、季節もかわりました。

 

マツさんは無事引っ越しと相成りました。

周りの方々も安堵していいます。

本人自身が、くつろいでいます。

 

立ち退きの先は…

以前住んでいた、斜め前の倉庫、徒歩10歩

その倉庫を改造してもらい、居住用にしました。

生活環境があまりかわなくて済みました。

 

 

このような認知症の一人暮らしのケースを困難事例といいます。

 

今回はむしろ、その現状を受け入れる高齢者のマツさんの方が

「大変で困難ではなっかたかなぁ~」と思いました。

 

【まとめ】

認知症の一人暮らしの高齢者は珍しい事ではありません。

 

私は、介護サービスを提供しながらたくさんの方々にお会いさせて頂きました。

けれど、誰一人として同じケースはありません。

もちろん、認知症のあらわれ方もそれぞれです。

 

実は認知症状があるなど、ご自分でもお気づきになっている高齢者のかたは多いのではないでしょうか?

 

対応の仕方もさまざまです。

 

これが正解というわけではありません、ほんのひとつのお話しです。

参考として頂ければ嬉しいです。

 

最後まで読んでいたただき誠のありがとうございます。

認知症の一人暮らしでした。    ~終わり~